私たちの野菜はびっくりするほど、じゃがいもは小さかったり、反対に蕪は大きかったり、 あるいは白菜は、スーパーで売っているものと違って、葉が丸くならずに広がっていたりします。
味は、どの野菜でも、とにかく濃い。
白菜であれば、「是非食べてみて」と言いたくなるほど甘く、最後はほんのり苦みが残ります。
でも、この見た目も味も、実は「自然」のものなのです。
安定的に収穫ができるよう、お店で並べた時に綺麗に見えるよう、少しずつ手を加えたことにより、 今スーパーなどで手軽に変える野菜は「自然」なかたちから段々と離れていってしまいました。
しかし、「自然」のままであること、ありのままであることで、もっとも野菜のもつ力やおいしさが
ひきだされます。
だからこそ、私たちは、本当の野菜のおいしさを求めて、8年をかけて「自然」な野菜作りに挑戦し
続け、今皆さまの食卓で味わっていただけるようになりました。
豊受自然農代表 由井寅子
私たちが使う野菜の種は「固定種」に限定しています。
「固定種」とは、人の手によって品種改良されていない自然のままの種のことです。
反対に、品種改良をされた種はF1種と呼ばれ、人が意図したとおりの形姿や性質を発揮すると、そのまま一代限りで終わってしまい、
F1種の野菜から採れた種を蒔いても次の年に作物はできません。
しかし、「固定種」は、自然のままであるため、その種から育った作物から採れた種から
また次の年にも野菜が育ち、しかも、世代をおうごとに一層その土地との適応性を増していきます。
微生物や根粒菌がいっぱいの土との、「良い関係」が、どんどん深まっていくのです。
私たちの農場の土は寝っころがりたくなるほど、ふかふかしています。
そのふかふかの秘密は、「微生物」。
微生物は、栄養いっぱいの健全な土をつくるためには必要不可欠な存在です。
農薬をまかず、植物発酵液をまくことで、多種多様な微生物がすめる環境を作りました。
また、日本の薬草やハーブを堆肥に加えることで、微生物と共に、土の養分やミネラルバランスを整えています。
私たちが初めて農業を始めた当初、その時植えたカレンデュラの茎と葉が伸びずに悩んだことがありました。
原因は、土地に窒素とカリウムが不足していたことでした。
結果としては、クヌギやドングリの葉を堆肥化したものを蒔いたことで、約三週間後には茎がしっかり伸びて
花つきもよくなり、綺麗なオレンジ色の花を満開に咲かせてくれました。
このことからも、私たちは、愛情をもって、植物の発するメッセージに耳を傾け、
植物に語りかけ、植物を観察することを大切にしています。
手間を惜しまず、野菜が「自然」の力を最大限にたずさえて育つことのできる環境をつくっていくためには、
愛情をもって接することが不可欠だからです。